私たちが日々の出来事を通して感じる、「感情」。
その感情の動きによって私たちはこの地球で、喜怒哀楽を味わいながら様々な体験をします。本記事では、感情に飲まれることなく、無理をするでもなく、心地よく感情を整理していく方法について解説します。
感情とは
感情とは、私たち人間が外側の現実世界で起きる出来事、物事、刺激によって抱く【歓び】、【哀しみ】、【怒り】、【恐怖】といった氣持ちを指します。
感情の種類には諸説あり、一般的に言われる喜怒哀楽、に加えて、心理学の側面からは【驚き】や【幸福感】、インドの伝統的な美学であるナヴァ(9つの)ラサ(情趣)においては、【嫌悪】、【平和】、【勇気・活力】も感情のひとつとみなされます。
いずれにしても、私たちが人生で体験する様々な出来事を通じて、誰もが一度はこういった”感情”を必ず味わうことになります。
感情があるのは本当に当たり前?
「必ず味わうことになります」と書いたばかりですが、そういった感情、特に、一般的にネガティブと言われる【怒り】や【哀しみ】といった感情を一切感じない人もいます。
私たちは、感情というのは当たり前にあるものであり、前述の怒りや悲しみなど含め様々な感情があることこそが人間である証であり、感情とは心であり、感じない”無感情”のような状態は無味乾燥で、つまらないことだとある意味”思い込まされて”生きてきました。
特に、心と感情は同一のものだと多くの人が考えていますが、実は心と感情は似て非なるものです。
感情と心の違い
例えば自分の目の前にいる人が突然、大きな声で笑い出したとします。
その時抱く感情は、人によって違います。
ある人は、自分も楽しくなってきて、一緒に笑うでしょう。感情としては、楽しさや歓びを感じています。
しかしある別の人は、イライラと怒りの感情を感じるかもしれません。
この違いはどこから生じるか?
それは、その人の、心の在り方です。
心を通して”与えた意味”が感情となる
同じ事象を見聞きしても、生まれる感情は心の状態によって全く違います。人によっても違いますし、同じ人であっても、その時の心の状態によって、受け止め方、生まれる感情が全く違ってきます。
これだけでも、感情と心とは、実は全く別物であることが分かると思います。
私たちは自分の心というフィルターを通じて、目の前の現実を見ます。その現実に起きている物事には、実は絶対的な意味はありません。
それぞれ私たち自身の心を通して、その出来事に意味を与えているにすぎません。そして、その与えた意味により生まれる感情を体験しています。
前述の例であれば、笑い出した人に対し楽しい感情を抱けば、楽しさを味わうことになりますし、イライラの怒りの感情を抱けば、さらにイライラするような現実を体験することになります。
感情と魂の違い
また、感情と魂も全く違うものです。魂とは私たちの本質であり、外側の出来事に影響されることはありません。
よく私たちは、誰かに傷つけられた、このことで傷ついた、といって怒りや悲しみの感情を味わい、泣いたり怒ったりしますが、その時反応しているのはエゴを抱えた心であり、魂ではありません。
魂は傷つくことはなく、傷つくのは私たちの心に住み着くエゴです。
エゴが感情を生む
私たちには、魂という自分ありのままの本質の在り方に対峙するエゴという存在が常にあります。エゴは、我(が)です。
自分の外側に起きている出来事に対し、様々な感情や思考が生まれるのは、私たちにエゴがあるからです。
エゴは心の在り方に強く作用しています。
心がモヤモヤと曇るのも、嫉妬も怒りも、悲しみも悔しさも、全部エゴの働きです。エゴのおかげで、いろんな感情を体験することができるとも言えますが、エゴが動き続ける限り、心が真に穏やかに安らぐことはありません。
私たちが自分のエゴを癒し、統合し、手放していけると、心がいつも澄み切って穏やかでいられるようになります。
感情を整理するためには
これまで書いてきた通り、感情は心とも魂とも違います。
外側からの刺激に対し、その人の心というフィルターを通して感情が生まれ、その心はエゴの影響を強く受けています。それに加え、私たちが捉えにくい潜在意識、”~すべき”、”こうあるべき”といった集合意識の作用もあるため、日々内観していないと知らず知らず、心の動きに振り回されてしまいます。
一方の魂は、もっと深いところにある不動の本質であり、輪廻転生しても変わることはない永遠なるもの、私たちの本体、本質の光です。
もちろん魂も進化成長という変化はしていくものですが、起きる出来事によって右往左往するような存在ではありません。
そのことを踏まえて、感情を整理するにはどうすればいいのか?を考えてみたいと思います。
感情整理の方法は様々な書籍でも紹介されていますが、私自身が効果のあったやり方を紹介します。
Step1:感情を抑えず表に出す
これはクローゼットの整理片付けをイメージすると分かりやすいです。お片付けと言えば、有名なこんまりさんの本にも書かれていますが、まずはクローゼットの中にどんなものがあるのか、すべての服を出して山積みにしてみることが勧められています。
何があるのかをまず把握しないことには、整理することはできないからです。
感情も同じで、自分の中に隠したり押し込めたままでは整理することは出来ません。まずはきちんと表に出すことが大切です。
そして、自分は日頃、どんな出来事に対し、どんな反応をし、どんな感情を感じるのかを俯瞰してみるということが必要です。
Step2:自分の心のクセを知る
自分が日頃、どんな出来事に対しどんな感情を抱くのか。
丁寧に見ていくと、その感情が生まれる背景となっている「自分の心の在り方」が見えてきます。
人それぞれ、必ず心の在り方にはクセがあります。生まれ育った環境や、両親や教育の影響によって心は育まれるので、必ず誰にでもあるのです。
例えば、友達を常に競争相手として見る心のクセがあると、湧き上がる感情はいつも嫉妬やイライラ、競争心、自己否定による哀しみといった感情になります。
幸せに成幸している人や、お金持ちの人を見ると怒りを感じるというのも、同じです。
その感情そのものが自分の本質なのではなく、そういった自分の長年の心のクセが、怒りという感情を生んでいることにまずは氣がつくこと。
そして、その心のクセをどうしたら癒していけるのか。逃げることなく正面から、ちゃんと自分に向き合ってあげることが必要です。
Step3:自分を許し心を穏やかにする
自分を苦しめる心のクセに氣づいたら、それを否定せずに受け入れ、エゴの存在を認め、そして「自分のために」それを許そうと決めます。
エゴを排除しようとしたり闘うのではなく、ヨシヨシとすねた子供を抱きしめるような気持ちでエゴの訴えに寄り添い、「それでいいんだよ、でももう苦しいからやめようね」とエゴの自分に声をかけてあげると、自然と心が穏やかになります。
許しは私たちの誰もにとって大きなテーマです。 「〇〇が許せない」という頑なな想いもエゴの働きで、その許せないという想いは最も私たちを苦しめます。
誰かのために許すのではなく自分のために、自分を楽にしてあげるために許すこと。自分への愛が根底にあれば、必ず許すことができます。
心が穏やかになり、落ち着き、静けさを取り戻していくと、直感が働くようになります。直感とは、私たちのハイヤーセルフ、魂の高次元の部分から降ろされる叡智であったりメッセージです。
直感に従って動けている時、私たちは感情に右往左往することが少なくなります。軽やかで迷いなく、かつ、自分を信頼して満ちている状態だからです。
その直感を受け取るには、頭(思考)を使わずハートで感じることも重要です。それが感情を整理する上でも大きく役立ちます。
まとめ
心が穏やかで中庸であればあるほど、感情は生まれにくくなります。喜怒哀楽があまりなくなっていきます。
いつも穏やかで泰然自若としている人ほど、心が静かでいつも安定しています。不安や恐怖に苛まれることなく、安心立命の境地にあります。
そんなのつまらない、と感じるかもしれません。
何故なら、良くも悪くも豊かな感情を味わうために、私たちはこの地球に肉体を持って生きているからです。
でももう、日々感情に振り回されて目の前の出来事に一喜一憂したり、エゴを満たすために頑張ることに疲れ切っている人も多いのではないでしょうか。
それは私たちが生きる時代そのものが、競争原理に基づいた男性性社会から、精神性優位の女性性の時代に移ったからです。
誰もその流れに逆らうことは出来ません。
勝たなければ、頑張らなければ、努力しなければ、成功しなければという、~すべきという思考に縛られた在り方自体が、もう古い地の時代の生き方です。
実は、人に認められたり、評価されて喜ぶのはエゴで、私たちの本体である魂ではありません。
エゴを満たしても、すぐに枯渇します。一時的には興奮して達成感や幸福感を感じても、すぐにまた物足りなさを感じて、その”足りなさ”を埋めようと奔走します。永遠に勝ち続けなければいけない、ゴールのないマラソンを走るがごとくです。
それは魂に沿った生き方とは言えません。
魂は、何が起きても起きなくても、どんな自分であっても、いつも平穏で愛に満たされています。魂は、何か事を成す自分でなければいけない、何かしなければいけない、休んではいけない、ボーっとしている時間は不毛だ、などとは考えません。
私たちの存在そのものが愛であり、存在していること自体に価値があることに氣づけた時、魂は輝きます。
日々忙しすぎたり、自分と向き合う時間がなく常に外側の現実にばかり意識を向けて動いていると、私たちの心がエゴという我で曇ってしまい、魂の声が聴けなくなります。
だからこそ、心の曇りを浄化するために、ヨガや瞑想など世の中には多くの内なる自分と向き合うためのワークがあります。
私が行っているヴォイスヒーリングもその一つです。声を出すことで瞑想状態に入り、自分の内側と繋がり、内なる魂の声を聴いていきます。
すると、自分の本音、自分が心の奥にある本質の光である魂では何を望んでいるのかが、本当に良く分かるのです。
それは、思考、頭で考えている”お利口な自分”とはまるで違うこともあります。
それは、魂が嬉しくて泣いているのです。
やっと本当の私に氣づいてくれたんだね、と、魂の自分が喜んでいるのです。魂から自分の愛で満たされた感覚は、エゴが満たされた一時的な高揚感とは全く別の、本当に静かで穏やかな幸福感です。
魂の自分を感じるためには、様々な固定概念や囚われ、エゴで曇ってしまった心を浄化していく必要があります。
心が浄化されクリアになり、エゴが癒されていけば、感情は整理しようと無理をしたり頑張らなくても、勝手に整理されていきます。
感情は心が生むものだからです。
この記事を読んでくださった貴方が、前よりも穏やかで真に愛に満たされているご自分と出逢えることを祈りながら、私自身も日々丁寧に、生きていきたいと思います。
2024年の大きなテーマは、これまで深めて来た自己愛と自己受容を土台として、さらに自己統合を進め、実際に行動に移していくことです。
自分自身の闇から逃げることなく、あるがままの本当の自分を生きるという「肚を決め」「覚悟を決め」、自らの魂の声に従い、自分を許し、自分を愛し、これまでの過去を感謝と共に手放して、望む未来へと進んでいくサポートを行っています。